投稿日:2022.11.02
既にご存知のように2021年5月にいわゆる「医師の働き方改革」法が可決され
2024年4月より医師の時間外労働規制が始まります。
この法案と並行して医療関係職種の業務範囲を見直して
各職種の業務範囲の拡大等を行うタスクシフト/シェアを行うための検討がなされ、
臨床検査技師、臨床工学技士他の教育カリキュラムの法改正が行われました。
(臨床検査技師:2021年3月、臨床工学技士:2022年3月)
本学の臨床技術学科は、日本において最初の臨床工学技士・臨床検査技師のWライセンス学科として
2011年度に開設してから2022年度で12期生を迎え入れております。
その間に幾つかの他大学で同Wライセンス学科が設置され競合する状況が発生しておりました。
しかしながらこの法改正で競合他大学は、
Wライセンス学科を取り止めてシングルライセンスにするとの動きになって来ております。
なぜWライセンスを取りやめるのか?と言うと既存の考え方では臨床工学技士、臨床検査技師の指定科目の単位数が増加し、
時間割に授業科目が入りきれない状況が発生したためと考えられます。
本学でも当然同様の状況が発生し、Wライセンス存続かシングルライセンスへの移行かで検討を重ねました。
その中で本学のような立地条件で多くの学生に志していただくためには、特徴ある教育が必須であり、臨床技術学科では、
Wライセンスの維持が何としても必要との結論に至りました。
そこで改正された法律を読み解くと今改正より実習時間1単位を30時間から45時間の中で
大学の判断で決めることができると明記されていることが分かりました。
卒業生の皆さんの実習時間は1単位45時間でしたが、
Wライセンス新カリキュラムでは、実習1単位一律30時間とすることに致しました。
その結果、4年間の総単位数129単位が169単位に増加となりましたが、
総時間数は卒業生の皆さんが学んだ時間数と同じ3150時間とすることができました。
このことによりWライセンスのカリキュラムの存続は可能との判断に至りました。
臨床検査技師カリキュラムは2021年12月に厚生労働省に申請を行い、認可をいただき、
臨床工学技士分は今年度2022年9月に申請を行い、認可をいただける予定です。
Wライセンス学科存続の危機でしたが何とか回避できたと考えております。
現在の情報では日本唯一のWライセンス学科とのことです。
2022年度入学生(12期生)は、先取りしたカリキュラム申請で既に新カリキュラムで学んでおります。
実習時間が30時間に圧縮されて短時間で多くを学ばなければならない状況ですが、
危機感を持って勉学に励んでいます。私ども教員と致しましては、
少しでも学んでいることが重要であると考えております。
学んでいれば医療現場に行って問題に突き当たっても
学んだことと関連性を見い出し発展させ解決できる可能性があります。
このことは、程度の差はあれ卒業生の皆さんにも言えることだと考えております。
この分野を通じて医療の発展にもつながることと考えております。
今回の法改正でWライセンス学科を何とか存続できたと考えております。
今後の卒業生も含めWライセンス臨床技術者の活躍で新たな可能性を追求し、
医療の発展につなげていただければと考えております。
(臨床技術学科:牧口智夫)